このコースでは、自分の Windows PC の中に Ubuntu 22.04 と ROS 2 Humble が入った講義用の環境を用意し、そのデスクトップをブラウザで開いて使います。この回は、1 回目の授業までに家で済ませておく準備です。全部で 1〜2 時間ほどかかります(ほとんどはダウンロードの待ち時間です)。
しくみを知らなくても使えますが、用語だけ押さえておきます。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| Docker Desktop | Windows の中で、Linux の環境を箱のように分けて動かすためのソフト |
| イメージ | 講義用の環境のひな形。Ubuntu・ROS 2・サンプルがすべて入っている。最初に 1 回ダウンロードする |
| コンテナ | イメージから作った、実際に動いている環境。壊れても作り直せる |
| noVNC | コンテナの中のデスクトップを、ブラウザで操作するためのしくみ |
| ホーム(sakigake-home) | 自分で作ったファイルを置く場所。コンテナを作り直しても消えない |
準備は次の順に進めます。
- チェックツールで PC を調べる
- Docker Desktop を入れる
- start.bat で講義用の環境を起動する(初回は大きなダウンロードがある)
- ブラウザのデスクトップの使い方を覚える
- 終わり方と、困ったときの作り直し方を確かめる
まず、講義用のファイルをまとめた zip をダウンロードします。
sakigake-ros2-pc_2026-fall_v4.zip をダウンロードする(約 10 KB)
中には check_env.bat・check_env.ps1・start.bat・stop.bat・reset.bat・README.txt が入っています。展開する前に、次の手順で Windows のブロックを外してください。外さないと、start.bat を開いたときに「Windows によって PC が保護されました」と出ることがあります。
- ダウンロードした zip を右クリックし、「プロパティ」を選ぶ
- いちばん下の「セキュリティ」の「許可する」にチェックを入れて「OK」を押す(「許可する」が表示されていなければ、そのまま「OK」でよい)
- zip を右クリックして「すべて展開」を選ぶ。展開したフォルダの中の
sakigake-ros2-pcフォルダを、ダウンロードなど分かりやすい場所に置く
1. チェックツールで PC を調べる
check_env.bat をダブルクリックします。新しく開いた画面に、項目ごとの結果が 1 行ずつ表示されます。下の例は、Docker Desktop を入れ終わり、まだ start.bat を実行していない PC の結果です。Docker Desktop をまだ入れていない今は、Docker Desktop の行が NG になりますが、それで正常です。2 で入れたあとに、もう一度実行します。
=== sakigake ROS 2 講義 事前チェック ===
[OK] OS: Windows 11 Education (build 26200)
[OK] メモリ: 47.9 GB
[OK] C: の空き: 663.9 GB
[OK] 仮想化 (BIOS): 有効
[OK] WSL: インストール済み
[OK] Docker Desktop: 動作中 (Engine 29.8.0)
[INFO] 講義用イメージ: ghcr.io/hirokazu-ando/sakigake-ros2:2026-fall はまだない(start.bat の初回にダウンロードされる)
[OK] ポート 6080: 空いている
(ホットスポットと無線アダプタの判定が続く)
NG はありません。
結果を保存しました: C:\Users\(ユーザー名)\Downloads\sakigake-ros2-pc\check_env_result_(PC名).txt
Enter キーで閉じる
行の先頭の意味は次のとおりです。
| 表示 | 意味 |
|---|---|
| [OK](緑) | 問題ありません |
| [WARN](黄) | 動きますが注意が必要です。書かれている内容を読んでください |
| [NG](赤) | このままでは使えません。授業で受ける人は、1 回目の授業までに直してください |
| [INFO](灰) | 参考の情報です。直す必要はありません |
結果は check_env.bat と同じフォルダに check_env_result_(PC名).txt として保存されます。授業で受ける人は、このファイルを Google Classroom に提出してください。1 回目の授業の前に、全員の PC で講義用の環境が動くかどうかを先生が確かめるためです。提出するのは、2 で Docker Desktop を入れ、NG を直してから、もう一度 check_env.bat を実行したときのファイルです(同じ名前で上書きされます)。自分では直せない NG が残ったときも、そのときのファイルを提出して、先生に相談してください。
NG が出たときの直し方
| 項目 | NG の原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| OS | Windows 10 の古い版 | Windows Update で Windows 10 22H2 以降(できれば Windows 11)にする |
| メモリ | 8 GB 未満 | 授業で受ける人は先生に相談してください。ひとりで学ぶ人は、ほかの PC を使ってください |
| C: の空き | 25 GB 未満 | いらないファイルやアプリを消して空ける。40 GB 以上あると安心です |
| 仮想化 (BIOS) | CPU の仮想化機能が無効 | PC を再起動して BIOS(UEFI)の設定画面を開き、Intel VT-x または AMD-V (SVM) を有効にする。開き方は PC のメーカーごとに違います |
| WSL | WSL が入っていない | スタートボタンを右クリック →「ターミナル(管理者)」を開き、wsl --install を実行して再起動する |
| Docker Desktop | Docker Desktop が入っていない | このあとの「2. Docker Desktop を入れる」を行う |
| ポート 6080 | ほかのアプリが 6080 番を使っている | 表示されたアプリを終了する |
ホットスポットや無線アダプタ(優先バンド・ワイヤレスモード)の WARN は、ロボットとつなぐ第 3 週までに直せば大丈夫です。直し方は第 3 週の #07(準備 1)で説明します。
2. Docker Desktop を入れる
講義用の環境は Docker Desktop の中で動くので、先にこれを入れます。次の順に進めます。
- 公式サイトからインストーラーをダウンロードする
- インストーラーを実行し、終わったら PC を再起動する
- Docker Desktop を起動し、左下が Engine running になるのを確かめる
docker --versionとcheck_env.batで、入ったことを確かめる
Docker の公式サイト(https://www.docker.com/products/docker-desktop/)を開き、Windows 用(AMD64)の Docker Desktop をダウンロードします。
ダウンロードしたインストーラーを実行し、表示に従って進めます。「Use WSL 2 instead of Hyper-V」のような WSL 2 を使う選択肢が出たら、オンのままにします。
再起動したら、スタートメニューから Docker Desktop を起動します。利用規約への同意やサインインの画面が出ることがありますが、サインインはしなくても使えます(Skip を押します)。
「WSL のアップデートが必要」と表示されたとき
スタートボタンを右クリックして「ターミナル」を開き、次を実行してから Docker Desktop を起動し直します。
wsl --update
Docker Desktop の画面の左下に Engine running と表示されれば、使える状態です。念のため、Windows のターミナル(スタートボタンを右クリックして「ターミナル」を選ぶと開きます)で次を実行し、バージョンが表示されることも確かめます。docker --version は、入っている Docker の版を表示するだけのコマンドで、何も変更しません。
docker --version
ここで、もう一度 check_env.bat を実行し、Docker Desktop が [OK] になることを確かめてください。ほかに NG が残っていなければ、このとき保存された check_env_result_(PC名).txt を Google Classroom に提出します。
3. start.bat で講義用の環境を起動する
1 回目は、家など、たっぷり通信できる場所で行ってください。講義用のイメージは数 GB あり、学校のネットワークでは時間がかかりすぎます。
ここでは、講義用の環境(イメージ)をダウンロードして起動し、ブラウザでデスクトップを開くところまで進めます。
- Docker Desktop が Engine running になっていることを確かめる(なっていないと start.bat がエラーで止まる)
start.batをダブルクリックし、ダウンロードと展開が終わるまで待つ- ブラウザにデスクトップが出たことを確かめる
Docker Desktop が Engine running になっていることを確かめてから、start.bat をダブルクリックします。黒い画面が開き、次のように進みます。
=== sakigake ROS 2 環境を起動します ===
イメージ ghcr.io/hirokazu-ando/sakigake-ros2:2026-fall をダウンロードします。数 GB あるので時間がかかります...
※ Download complete が全部そろったあと、展開に 10 分以上かかることがあります。
その間は画面が止まって見えますが、この画面は閉じずに待ってください。
途中で閉じても、もう一度 start.bat を実行すれば続きから進みます。
(ダウンロードの進み具合が表示される)
ダウンロードと展開が終わりました。
コンテナを作成します...
デスクトップの準備を待っています...
ブラウザでデスクトップを開きました: http://localhost:6080/
終わるときは stop.bat を実行します。作ったファイルは消えません。
初回はイメージのダウンロードが入るので、通信の速さによって数十分かかります。2 回目からはダウンロードがないので、1 分ほどで開きます。
ダウンロードの行がすべて「Download complete」になったあと、画面が 10 分以上止まったように見えることがあります。これは、ダウンロードしたイメージを展開しているところで、進み具合が表示されないだけです。黒い画面は閉じずに待ってください。展開が終わると「ダウンロードと展開が終わりました。」と表示されて先へ進みます。もし閉じてしまっても、もう一度 start.bat を実行すれば続きから進みます。
準備ができると、ブラウザが自動で開き、Ubuntu のデスクトップが表示されます。「Connect」と書かれた画面が出たときは、そのボタンを押します。
ブラウザのアドレスは http://localhost:6080/ です。ブラウザを閉じてしまっても、環境は動いたままなので、このアドレスを開けば元の画面に戻れます。
Docker Desktop が起動していないときの表示
=== sakigake ROS 2 環境を起動します ===
[エラー] Docker Desktop が起動していません。
1. スタートメニューから Docker Desktop を起動する
2. 画面左下が Engine running になるまで待つ
3. もう一度 start.bat を実行する
Docker Desktop を起動し、左下が Engine running になるまで待ってから、もう一度 start.bat を実行します。
4. ブラウザのデスクトップの使い方
授業では、このデスクトップで端末を開いてコマンドを打ちます。はじめに次の 3 つを確かめておきます。
- 端末を開き、ROS 2 が使えるかを確かめる
- Windows でコピーした文字を、端末に貼り付ける
- 画面が狭いときに広げる
端末を開く
デスクトップの Terminator をダブルクリックすると、端末(コマンドを打つ画面)が開きます。試しに次の 2 つを実行してみてください。
echo $ROS_DISTRO
ros2 pkg executables sakigake_samples
1 行目の echo $ROS_DISTRO は、入っている ROS 2 の版の名前を表示します($ で始まるものは環境変数です。くわしくは #02 の「14. 環境変数と source」)。2 行目は、この講座のサンプルのパッケージ sakigake_samples に入っている、実行できるプログラムの名前を並べます。コマンドの打ち方にまだ慣れていない人は、#02 を先に読んでからでもかまいません。
Windows でコピーした文字を貼り付ける
記事のコマンドを Windows 側でコピーしても、そのままでは Ubuntu の端末に貼り付けられません。noVNC のクリップボードを経由します。
- 画面の左端にある小さなつまみをクリックして、noVNC のメニューを開く
- クリップボードのボタンを押し、出てきた入力欄に、Windows でコピーした文字を貼り付ける(Ctrl+V)
- メニューを閉じ、端末をクリックしてから Ctrl+Shift+V で貼り付ける
Ubuntu の端末では、貼り付けは Ctrl+V ではなく Ctrl+Shift+V、コピーは Ctrl+Shift+C です。Ctrl+C は、動いているプログラムを止めるキーです。
画面が狭いとき
ブラウザを全画面(F11 キー)にすると、デスクトップを広く使えます。ブラウザの大きさを変えると、デスクトップの大きさもそれに合わせて変わります。
5. 終わり方と作り直し方
| ファイル | 使うとき | 消えるもの |
|---|---|---|
start.bat | 使い始めるとき。2 回目からは前回の続きから始まる | なし |
stop.bat | 使い終わったとき | なし(ホームのファイルは残る) |
reset.bat | 環境がおかしくなって、直し方が分からないとき | apt install などで環境に追加したもの。ホームのファイルは残る |
使い終わったら stop.bat をダブルクリックします。「停止しました。次回は start.bat で続きから使えます。」と表示されれば終わりです。止めずに PC をシャットダウンしても壊れはしませんが、動いたままだとメモリを使い続けるので、授業のあとは止めておきましょう。
reset.bat は、環境を作り直します。実行すると確認が出るので、y を押します。授業で作るプログラム(~/ros2_ws など)はホームに置くので、作り直しても消えません。
1 回目の授業までにやること
check_env.batの NG をなくし、check_env_result_(PC名).txtを Google Classroom に提出するstart.batを 1 回実行し、ブラウザでデスクトップが開くところまで確かめる(ダウンロードを済ませておく)- 端末で
ros2 pkg executables sakigake_samplesを実行し、一覧が出ることを確かめる - 好きな AI に「ROS 2 のノードとトピックとは何か」と聞き、答えを保存しておく(テキストファイルに貼るか、画面を撮っておく)。AI の説明がどこまで正しいかを、#01 を読んだあとと、1 回目の授業(#03)の実験のあとに確かめるために使います
始める前に、#01 で ROS 2 がどんなものかを読み、#02 で端末の基本操作を練習しておいてください。どちらもこの環境を使います。
授業で受ける人は、1 回目の授業(#03)から、実験の記録を実習レポート(Word)に書いていきます。レポートのファイルは Google Classroom で配られ、提出も Google Classroom です。書き方と画面の撮り方は #03 の最初で説明します。











