LEDのしくみと使い方 ── 電気を光に変える部品
スイッチを入れた瞬間にぱっと光る。電子工作で最初に感動するのは、たいていLEDが点いた瞬間です。LED(発光ダイオード)は電気を直接光に変える部品で、電球とちがってほとんど熱くならず、長持ちで、消費電力もわずかです。部屋の照明から信号機、スマホの画面のバックライトまで、いま身のまわりの光のほとんどはLEDになりました。ただし、扱いには2つだけ約束があります。「向きを守ること」と「電流を制限すること」です。前回の抵抗器の話が、ここでそのまま生きてきます。この記事でこの2つの約束をしっかり身につけて、自信を持ってLEDを光らせられるようになりましょう。

1. LEDは「決まった向きにだけ」電流を通す部品
LEDは英語の Light Emitting Diode(発光ダイオード)の頭文字です。名前のとおりダイオードという部品の仲間で、ダイオードには「電流を一方通行にする」という性質があります。つまりLEDは、正しい向きにつないだときだけ電流が流れて光り、逆向きにつなぐと電流が流れず光りません。この向きのことを極性といいます。
極性は端子の名前で区別します。電流が入ってくる側がアノード(+側)、出ていく側がカソード(−側)です。実物のLEDでは、足の長い方がアノード、短い方がカソードです。また、本体を上から見ると縁の一部が平らに削られていて(面取り)、その平らな側がカソードです。足を切ってしまったあとでも、この面取りで向きが分かります。

回路図では、三角形と棒を組み合わせた記号で描かれます。三角形は電流の流れる向きを表す矢印で、アノードからカソードへ、つまり三角形のとがった方向にだけ電流が流れます。外へ飛び出す2本の小さな矢印は「光が出ている」という意味で、これがあると発光ダイオード、なければふつうのダイオードです。
2. 順方向電圧 ── 光りはじめるのに必要な電圧
LEDには、抵抗器にはなかった面白い性質があります。電圧を少しずつ上げていっても最初はほとんど電流が流れず、ある電圧を超えたとたん、急に電流が流れて光りはじめるのです。この「光りはじめるのに必要な電圧」を順方向電圧(記号は VF)といいます。
順方向電圧は、LEDの色によってちがいます。色のちがいは中の半導体材料のちがいから来ていて、材料が変わると必要な電圧も変わるからです。だいたいの目安は次のとおりです。

赤・黄・緑はおよそ2V、青と白はおよそ3.2Vです。これは実用上とても大事な数字です。たとえば乾電池2本(3V)なら赤のLEDは余裕で光らせられますが、青や白はぎりぎりで、暗かったり光らなかったりします。青や白を使いたいときは、電池を3本(4.5V)にするか、USBの5Vを使うのが確実です。なお白いLEDの中身は実は青いLEDで、青い光を蛍光体という材料で白に変えています。だから順方向電圧も青とほぼ同じなのです。
3. 使い方 ── 必ず抵抗を直列に入れる
いよいよ光らせます。ここで最大のルールがあります。LEDには必ず抵抗器を直列に入れる、です。LEDは抵抗器とちがって、自分で電流を抑える力がほとんどありません。順方向電圧を超えた電圧をそのままかけると、電流は際限なく増えて、LEDは一瞬で壊れます。そこで前回学んだ電流制限の出番です。電源電圧からLEDが使うぶん(順方向電圧)を引いた残りを、抵抗器に引き受けてもらいます。
R =(電源電圧 − VF)/ 流したい電流
例として、5Vの電源で赤いLED(VF ≒ 2V)を光らせてみましょう。電子工作でよく使う330Ωをつないだとき、流れる電流をオームの法則で計算すると次のようになります。

I =(5 − 2)/ 330 = 3 / 330 ≒ 0.009 A = 9 mA
LEDの明るさは、流す電流の大きさでほぼ決まります。ふつうの砲弾型LEDなら、5〜10mAもあれば十分明るく光ります。流してよい電流の上限(定格電流)はたいてい20mA程度なので、10mA前後を狙っておけば、明るさと安全の両方にちょうどよいバランスです。手元の抵抗が330Ωでなくても、220Ω(約14mA)や470Ω(約6mA)あたりなら問題なく使えます。
4. ここに注意 ── よくある失敗
LEDの失敗パターンは、はっきり3つに決まっています。先に知っておけばどれも防げます。
(1) 向きが逆
いちばん多い失敗です。逆向きでは電流が流れないので、ただ光りません。あわてず向きを差し直せば大丈夫です。ただしLEDが逆向きに耐えられる電圧(逆耐圧)は5V程度と意外に低いので、高い電圧の回路で逆につなぐと壊れることがあります。つなぐ前に足の長さを確認する習慣をつけましょう。
(2) 抵抗を入れずに直結
こちらは一発でLEDを壊す失敗です。順方向電圧を超えると電流が急激に増えるというLEDの性質そのものが原因で、電源に直結すると定格の何倍もの電流が一気に流れます。ぱっと明るく光ってすぐ消えたら、それはLEDの最期の光です。「LEDと抵抗はワンセット」と体に覚えこませてください。
(3) 電流の流しすぎ
「もっと明るくしたい」と抵抗を小さくしすぎるパターンです。定格(約20mA)を超えてもすぐには壊れないことがありますが、LEDの中が熱で少しずつ傷み、暗くなったり寿命が大きく縮んだりします。明るさが足りないときは電流を増やすのではなく、明るいタイプのLEDに変えるのが正解です。

5. 確かめてみよう ── 点灯と逆向き実験
それでは、ブレッドボードで実際に確かめてみましょう。使うのは電池ボックス(単3×2=3V)、330Ωの抵抗器、赤色LEDの3つです。電池の+から出発して、抵抗器、LEDの長い足(アノード)、短い足(カソード)の順に通り、電池の−へ戻る一本道を作ります。

正しくつなげば、赤いLEDが点灯します。3Vのうち約2VをLEDが使い、残り1Vが330Ωにかかるので、流れる電流は 1 ÷ 330 ≒ 3mA。控えめの電流ですが、赤色LEDならはっきり光って見えます。
点灯を確認したら、今度はLEDだけを抜いて、逆向きに差し直してみてください。光らなくなるはずです。壊れたわけではないので、もう一度正しい向きに戻せばまた光ります。「LEDは一方通行」という今回いちばん大事な性質を、自分の手で確かめられました。
6. まとめと次のステップ
LEDは電気を光に変える部品で、ダイオードの仲間なので決まった向きにだけ電流を流します。長い足がアノード(+)、短い足がカソード(−)。光りはじめるには色ごとに決まった順方向電圧(赤は約2V、青・白は約3.2V)が必要で、つなぐときは必ず抵抗器を直列に入れて電流を10mA前後に抑える。これだけ守れば、LEDはこわくありません。前回の抵抗器の「電流制限」が、さっそく主役として活躍しましたね。
次の記事では「スイッチ」を扱います。回路の電気を入り切りする、いちばん身近な部品です。押しボタンの中身がどうなっているのか、なぜ「チャタリング」という現象が起きるのか、実物を分解するつもりでくわしく見ていきます。
発展・応用アイデア
もっと遊びたい人へ、3つの寄り道です。ひとつ目は「明るさくらべ」。確かめてみように使った330Ωを1kΩや100Ωに変えると、明るさがどう変わるか試してみましょう(100Ωのときの電流も計算してみてください。3Vなら (3−2)/100 = 10mA で、まだ安全圏です)。ふたつ目は「青色LEDの物語」。赤と緑のLEDは早くからありましたが、青だけは長年作れず、実現した赤﨑勇・天野浩・中村修二の3氏は2014年にノーベル物理学賞を受賞しました。青ができたことで白が作れるようになり、世界の照明が置き換わったのです。みっつ目は「いろいろなLED」。2色入りや、マイコンから色を自由に変えられるフルカラーLED(WS2812など)、数字を表示する7セグメントLEDなど、LEDの仲間はたくさんあります。このコースの先で、マイコンと組み合わせて登場します。