FreeCAD × 基本操作 | #03 回転で作る

前回は、スケッチを押し出して立体を作りました。でも、押し出しが苦手な形があります。コップ、ペットボトルのキャップ、コマ。断面が丸い形です。こういう形の作り方が、今回のテーマ「回転」。半分の断面を描いて、軸のまわりにくるっと一回転させると、丸い立体ができあがります。ろくろで茶わんを作るのと同じ理屈です。最後の課題では、本当に回して遊べるコマを作ります。

今回の主役:2つのボタン

使うのは前回と同じPart Designワークベンチ。ツールバーのパッド・ポケットのすぐ近くに、今回の主役が並んでいます。

①回転(回して足す) ②グルーブ(回して削る)
①回転(回して足す) ②グルーブ(回して削る)
  • ① 回転(Revolution):スケッチを軸のまわりに回して、材料を足す
  • ② グルーブ(Groove):スケッチを軸のまわりに回して、材料を削る

気づきましたか? 足すと引くのペアになっています。パッドとポケットが「まっすぐ」のペアなら、回転とグルーブは「ぐるっと」のペアです。

回転体の考え方:半分だけ描けばいい

コップを作りたいとします。丸い形を直接描くのではありません。コップを縦にまっぷたつに切った断面の、さらに右半分だけをスケッチに描きます。それを軸でくるっと一回転させると、コップになります。

①半分の断面を描く → ②軸で回すと… → ③一周(360°)で立体に
①半分の断面を描く → ②軸で回すと… → ③一周(360°)で立体に

これが回転体のいちばん大事な考え方です。「作りたい形の半分の断面を描いて、軸で一回転」。断面さえ描ければ、どんなに複雑な輪郭でも一発で丸い立体になります。旋盤という工作機械も、ろくろも、考え方はまったく同じです。

手順:コップを作ってみる

手順1:縦の面(XZ平面)にスケッチを描く

今回はスケッチを描く場所がポイントです。いつものXY平面(床)ではなく、XZ平面(縦の壁)に描きます。回転体は縦の軸で回すので、断面も縦に立てて描くと向きが合うからです。「新しいスケッチ」を押したあとの平面選びでXZ平面を選ぶだけ。あとはいつもどおりです。

コップの右半分の断面を、線で囲んで描きます。外側の壁、内側の壁、底。断面はひとつながりの閉じた形にして、完全拘束まで仕上げます。このとき断面の左端を原点の縦線(縦軸)にくっつけておきましょう。この縦線が、あとで回転の軸になります。

手順2:スケッチを閉じて「回転」

スケッチを閉じたら、ツリーでスケッチを選んで「回転」ボタンを押します。右側に回転押し出しパラメーターが出ます。

回転パラメーター。確認するのは軸と角度の2つだけ
回転パラメーター。確認するのは軸と角度の2つだけ
  • ① 軸「垂直スケッチ軸」を選びます。スケッチの縦線(原点を通る縦軸)が回転の軸になります。
  • ② 角度:一周させるなら360°のまま。半分だけ回すと断面が見える形になります(上の考え方の図②がそれです)。
  • ③ 逆方向:回す向きを反対にしたいときにチェック。360°回すなら、どちら向きでも結果は同じです。

緑のプレビューで仕上がりを確かめて、OK。これだけでコップの形が完成です。

軸からの距離で、結果が変わる

ひとつ実験です。同じ長方形のスケッチでも、回転軸にくっつけて回すか、軸から離して回すかで、できあがる形が変わります。

同じ長方形でも、軸にくっつけると円柱、離すとリングになる
同じ長方形でも、軸にくっつけると円柱、離すとリングになる
  • 軸にくっつけて回す → 中身の詰まった円柱
  • 軸から離して回す → 真ん中に穴があいたリング(ドーナツの輪切りのような形)。

断面が軸から離れていれば、その分だけ真ん中が空洞になる。当たり前といえば当たり前ですが、「軸と断面の距離も形の一部」だと覚えておくと、リングやパイプが自由に作れるようになります。

グルーブ:回して削る

回転の逆、回して削るのがグルーブです。グルーブ(groove)は英語で「溝」のこと。丸い軸のまわりにぐるっと一周する溝を掘りたいとき、たとえばタイヤの溝、ねじ用のリング溝、持ち手のすべり止めなどに使います。

使い方は回転とまったく同じです。削りたい断面(小さな四角など)をXZ平面に描いて、「グルーブ」ボタン。すると、その断面が軸のまわりを一周しながら材料を削り取ります。

丸いシャフトに小さな四角をグルーブ。一周ぐるりと溝が掘れる(右は断面)
丸いシャフトに小さな四角をグルーブ。一周ぐるりと溝が掘れる(右は断面)

つまずきポイント

よくあるつまずきと対処(早見表):断面は軸の片側・XZ平面に
よくあるつまずきと対処(早見表):断面は軸の片側・XZ平面に
  • 「回転」ボタンが押せない:スケッチを選んでいないか、編集中のままかも。スケッチを閉じてから、ツリーで選んで押します。
  • エラーが出て立体にならない:断面が閉じていないか、断面が軸をまたいでいるかも。断面は軸の片側(右側)だけに描きます。
  • 思った向きと違う形になる:軸の選択を確認。今回の作り方なら「垂直スケッチ軸」です。
  • 変な軸で回ってしまう:断面をXY平面に描いていませんか? 縦のXZ平面に描くと、縦軸回しの向きが合います。
  • グルーブで全部消えてしまう:削る断面が大きすぎるかも。断面の大きさと位置を見直しましょう。

課題:コマを作る

今回の総仕上げです。下の図面のとおり、回して遊べるコマを作ってみましょう。本体は回転で一発、持ち手のすべり止めの溝2本はグルーブ。今日の2つを両方使います。

課題:このコマを作る(右半分の断面図・単位mm)
課題:このコマを作る(右半分の断面図・単位mm)

図面は右半分の断面です。一番左の一点鎖線が回転軸。数字は軸からの距離(=半径)と高さです。先端を原点に合わせるのがコツです。

解答を見る(手順つき)

ステップ1:断面を描く。XZ平面に新しいスケッチを作り、コマの右半分の断面を線で描きます。先端の点を原点に「一致」で固定し、図面の寸法(横22・高さ16、20、24、42、持ち手の半径7)を入れて完全拘束します。溝はここでは描きません。あとでグルーブで削るからです。

ステップ1:縦の面(XZ平面)に、コマの右半分の断面を描いて完全拘束する
ステップ1:縦の面(XZ平面)に、コマの右半分の断面を描いて完全拘束する

ステップ2:回転で本体を作る。スケッチを閉じて、ツリーで選んで「回転」。軸=垂直スケッチ軸、角度=360°でOK。一発でコマの形になります。

ステップ2:「回転」で360°回すと、コマの形になる
ステップ2:「回転」で360°回すと、コマの形になる

ステップ3:グルーブで溝を入れる。もう一度XZ平面に新しいスケッチを作り、2×2mmの小さな四角を2つ描きます。位置は軸から6mm・高さ30mm高さ34mm。原点からの寸法で完全拘束したら、スケッチを閉じて「グルーブ」、角度360°でOK。持ち手にすべり止めの溝が2本、ぐるっと一周入ります。

完成:持ち手に「グルーブ」ですべり止めの溝を2本入れる
完成:持ち手に「グルーブ」ですべり止めの溝を2本入れる
完成品を真正面から見たところ
完成品を真正面から見たところ

線がたくさんあって難しそうに見えますが、やったことは「断面を描いて回す」を2回だけ。うまくいかないときは、ツリーの Revolution/Groove をダブルクリックすれば、いつでも設定をやり直せます。

まとめ

  • 丸い立体は回転で作る。「半分の断面を描いて、軸で一回転」
  • 断面は縦のXZ平面に描き、軸は「垂直スケッチ軸」を選ぶ。
  • 断面を軸にくっつけると詰まった形、離すとリングやパイプになる。
  • グルーブ=回して削る。軸まわりに一周する溝はグルーブの出番。
  • パッドとポケットが「まっすぐ」のペア、回転とグルーブが「ぐるっと」のペア。
  • どの操作も、ツリーをダブルクリックすればあとから直せる(パラメトリック)。

次回 #04「仕上げの技」では、部品の角をまるめる・けずる、中身をうすくくり抜くといった、仕上げの操作をまとめて覚えます。ここまでの形が、ぐっと製品らしくなります。

【応用のヒント】① コマの断面の輪郭を自分でアレンジしてみましょう。曲線(円弧)を使うと、もっと本物らしいコマになります。② 角度を360°ではなく180°や90°にすると、断面が見える模型になります。説明用の図を作るのに便利です。③ グルーブの断面を三角形にすると、V字の溝になります。Oリング用の溝など、実際の機械部品でよく見る形です。


次回:#04 仕上げの技

PAGE TOP