コンデンサのしくみと使い方 ── 電気をためる小さなタンク
抵抗器は電流をちょうどよくする部品、LEDは電気を光に変える部品、スイッチは通り道を開け閉めする部品でした。今回のコンデンサは、それらとはまったく違う仕事をします。電気をためて、あとで放す——いわば「電気の小さなタンク」です。基板の上で円筒や粒の形をして並んでいるあの部品は、地味に見えて、電子機器の動作を陰で支えています。今回はためるしくみから、ためた電気でLEDを点し続ける実験までやってみましょう。

1. コンデンサのしくみ ── 2枚の金属板に電気をたくわえる
コンデンサの中身は、拍子抜けするほど単純です。2枚の金属板が、くっつかないように、ごく薄い絶縁体をはさんで向かい合っているだけ。これだけです。
この2枚の板に電池をつなぐと、電池に押された電気が板の表面に集まってきます。+につながった板には+の電気が、−につながった板には−の電気がたまります。板どうしは絶縁体で隔てられているので、電気は向こう岸へ渡れず、表面にたまったままになります。電池を外しても、たまった電気はそこに残り続けます。これが「電気をためる」の正体です。

どれだけためられるかを表す量を静電容量(キャパシタンス)といい、記号は C、単位はファラド(F)です。たまる電気の量 Q(単位はクーロン)は、容量と電圧のかけ算で決まります。
Q = C × V
容量が大きいほど、また高い電圧をかけるほど、たくさんためられるという素直な式です。ただし1Fはとても大きな容量なので、電子工作で使うのはその100万分の1のマイクロファラド(µF)や、さらにその100万分の1のピコファラド(pF)が中心です。たとえば1000µFのコンデンサに3Vをかけると、Q=0.001F×3V=0.003クーロンの電気がたまります。
2. 種類と見分け方 ── 電解とセラミック
コンデンサにもいろいろな種類がありますが、電子工作でまず出会うのは2つです。

電解コンデンサは円筒形で、µF単位の大きな容量が得意です。そのかわり+と−の向き(極性)が決まっていて、逆につなぐと壊れます。側面の白い帯がある側が−、足の長いほうが+です。LEDの「長い足が+」と同じ覚え方が使えます。
セラミックコンデンサは小さな粒や円盤の形をしていて、容量はpF〜1µF程度と小さめですが、極性がなくどちら向きにつないでも使えます。容量は「104」のような3桁の数字で書かれています。読み方は、はじめの2桁をそのまま数字として読み、最後の1桁の数だけ0を並べる。単位はpFです。104なら「10のあとに0を4個」で100,000pF=0.1µFになります。抵抗器のカラーコードと同じ「2桁+桁数」方式なので、#04を読んだ人にはおなじみの仕掛けです。
3. 使い方 ── ためてゆっくり放す・電源を安定させる
コンデンサの使い方は、つなぎ方も含めてシンプルです。電気をためたい場所に並列につなぐ。すると、電圧がかかっている間に充電され、電圧が下がったり切れたりすると、こんどはためた電気を吐き出します。

この回路では、スイッチを押している間はLEDが点き、同時にコンデンサにも充電されます。スイッチを離すと電池からの供給は切れますが、コンデンサが小さな電池の代わりになって電流を流し続けるので、LEDはすぐには消えず、ゆっくり暗くなって消えます。
どれくらい「ゆっくり」かは、計算で見積もれます。コンデンサの電気が抵抗を通って抜けていく速さの目安を時定数(じていすう)といい、抵抗と容量のかけ算で求められます。
τ = R × C = 330 Ω × 0.001 F ≒ 0.33 秒
τ(タウ)秒たつと、コンデンサの電圧はもとの約37%まで下がります。この回路なら0.3秒ほどで目に見えて暗くなり、1秒くらいでほぼ消える計算です。容量や抵抗を大きくすれば、もっとゆっくりにできます。
もうひとつ、コンデンサの大事な仕事が電源の安定化です。電子回路の電源電圧は、部品が動くたびに細かく揺れます。電源のそばにコンデンサを並列に入れておくと、電圧が下がりかけた瞬間にためた電気を吐き出して、揺れをならしてくれます。マイコンのまわりに0.1µFのセラミックコンデンサが置かれているのはこのためで、パスコン(バイパスコンデンサ)と呼ばれます。マイコン電子工作を始めると、必ずお世話になる使い方です。
4. ここに注意 ── 向き・耐圧・残った電気
コンデンサで失敗しやすいポイントは3つあります。
(1) 電解コンデンサは向きをまちがえない
電解コンデンサを逆向きにつなぐと、内部の構造が壊れてしまいます。電圧が高い場合には中の液体が沸騰し、破裂することすらあります。白い帯がある側が−、長い足が+。差す前にかならず確認しましょう。
(2) 耐圧を守る
コンデンサの本体には「16V」のように電圧が書かれています。これは耐圧といって、かけてよい電圧の上限です。これを超えると容量にかかわらず壊れます。選ぶときは、回路の電圧より十分高い耐圧——目安として2倍以上——の品を選びます。電池2本(3V)の工作なら、手に入りやすい10Vや16V品で十分です。
(3) 外したあとも電気が残っている
コンデンサは電気をためる部品ですから、回路から外したあとも電気をためたままのことがあります。今回のような3Vの工作では触っても感じませんが、大きな容量・高い電圧で使われていたコンデンサは、足に触れるとビリッとくる危険があります。テレビやカメラのストロボなど、高電圧機器の中のコンデンサには絶対に素手で触らないでください。

5. 確かめてみよう ── ためた電気でLEDをともす
それでは、コンデンサの「ためて、放す」を目で確かめましょう。使うのは電池ボックス(単3×2=3V)、タクトスイッチ、330Ωの抵抗器、赤色LED、そして電解コンデンサ1000µF(耐圧10V以上)です。#06の「押すと光る回路」に、コンデンサを1個足すだけです。

電解コンデンサの向きに注意してください。長い足(+)を列23に、白い帯のある側の足(−)を列25に差し、−側は黒いジャンパー線で−のレールへつなぎます。スイッチの出口(列13)からコンデンサの+(列23)へは、赤いジャンパー線で橋をかけます。
組めたら、ボタンを1秒ほど押してみましょう。押している間LEDが点き、その裏でコンデンサも一瞬で満タンに充電されます。そして指を離すと——LEDはパッとは消えず、じわっと尾を引いてから消えていきます。さきほど計算した τ≒0.33秒の放電を、目で見ているわけです。
余裕があれば、コンデンサを100µFや470µFに差し替えてみてください。容量が小さいほど消え方が速くなり、τ=RCの式をそのまま体感できます。コンデンサを2個並列に差せば容量は足し算になり、さらにゆっくり消えるようになります。
6. まとめと次のステップ
コンデンサは、2枚の金属板に電気をたくわえる部品です。たまる量はQ=C×V、放すときの速さの目安はτ=RC。µF単位の大容量が得意で極性のある電解コンデンサと、小容量で極性のないセラミックコンデンサを、場面に応じて使い分けます。向きと耐圧さえ守れば怖い部品ではなく、電源の安定化からタイマーまで、回路のあちこちで活躍してくれます。
次の記事では「可変抵抗器」を扱います。つまみを回すと抵抗の値が変わる——音量つまみや明るさ調整でおなじみのあの部品です。抵抗器とコンデンサを学んだ今なら、しくみは一目で分かるはずです。
発展・応用アイデア
もっと知りたい人へ、3つの寄り道です。ひとつ目は「スーパーキャパシタ」。電気二重層コンデンサという種類は、1Fを超える桁違いの容量を持ち、小さな機器のバックアップ電源として電池の代わりに使われています。ふたつ目は「カメラのストロボ」。コンデンサにためた電気を一気に放すと、電池では出せない大電流の閃光が作れます。「ためてから一気に放す」はコンデンサのもうひとつの得意技です。みっつ目は「チャタリング対策」。#06で学んだスイッチ接点のバタつきは、スイッチにコンデンサを並列に入れて電圧の変化をなまらせることで抑えられます。学んだ部品が前の回の問題を解決する——電子工作はこうしてつながっていきます。