ブレッドボードとテスター ── 手を動かす準備
ここまでで、電気のしくみと回路の基本を学んできました。いよいよ実際に手を動かす番です。でもその前に、先に覚えておきたい2つの道具があります。はんだ付けなしで回路を組める「ブレッドボード」と、電気の様子を目で見えるようにする「テスター」です。この2つが使えると、失敗してもすぐ組み直せて、何が起きているかを数字で確かめられます。電子工作が安全に、そして楽しくなる道具です。

1. ブレッドボードのしくみ
ブレッドボードは、たくさんの穴があいた白い板です。穴の下には金属のクリップが隠れていて、部品の足を差し込むだけで電気的につながります。はんだ付けがいらないので、何度でも差し替えられます。ここで大事なのは、「どの穴とどの穴が内部でつながっているか」を知ることです。これを知らずに差すと、つながっているつもりでつながっていない、という失敗の原因になります。

ルールはシンプルです。中央の部分は、縦に5つの穴がひとつのグループとしてつながっています(横にはつながっていません)。そして真ん中には溝(谷)があり、ここを境に上下は分かれています。いっぽう、上下のはしにある赤と青の線がついた列は電源レールと呼ばれ、横一列がずっとつながっています。プラスを赤、マイナス(GND)を青に決めて使うのが定番です。
2. ブレッドボードの使い方
使い方の流れはこうです。まず電源の+を赤いレール、−(GND)を青いレールにつなぎます。次に部品を中央の穴に差します。このとき、つなぎたい足どうしを「同じ縦5穴グループ」に差せば、配線完了です。離れた場所どうしをつなぎたいときは、ジャンパーワイヤー(両端がむき出しの配線)で橋渡しします。部品やワイヤーを抜くときは、まっすぐ上に引き抜くのがコツ。斜めに引っぱると、穴の中のクリップを傷めてしまいます。

3. テスターとは ── 電気の様子を数字で見る
テスター(正しくはデジタルマルチメータ)は、目に見えない電気を数字にして見せてくれる道具です。ひとつで、電圧(V)・電流(A)・抵抗(Ω)・導通(つながっているか)など、いろいろなものが測れます。中央のダイヤルを回して「いま何を測るか」を選び、赤と黒の2本の棒(プローブ)を回路に当てて読みます。

4. 測り方の基本
測るものによって、当て方が変わります。ここがテスターのいちばん大事なところです。

電圧は、測りたい部品に対してプローブを並列に(両側に)当てます。たとえば電池の+と−に当てれば、電池の電圧が読めます。抵抗は、必ず回路から部品を外して、単体で測ります。つないだまま測ると、まわりの部品を通って正しい値が出ません。導通は、ダイヤルをブザーのマークに合わせて2点に当て、つながっていればピッと鳴ります。配線できているかの確認にいちばん便利です。
5. ここに注意
いちばん気をつけたいのが電流の測り方です。電流は、電圧とちがって、回路の通り道に直列に割り込ませて測ります。そして測り終わったら、必ずダイヤルを電流モードから戻してください。電流モードのまま電圧(電池の両端など)を測ると、テスターの中がほぼショート状態になり、ヒューズが飛んだり危険な大電流が流れたりします。これはテスターでいちばん多い失敗です。「電流を測ったら、すぐダイヤルを戻す」を口ぐせにしましょう。

もうひとつ、測るレンジ(範囲)に注意。オートレンジでない安いテスターは、だいたいの大きさに合わせてダイヤルを選びます。わからないときは大きいレンジから始めて、だんだん小さくすると安全です。
6. 確かめてみよう
では、2つの道具を実際に使ってみましょう。ブレッドボードに、電源の+から「抵抗器→LED→GND」の順でつないで、LEDを光らせてみてください(くわしい配線は次回のLEDの回で扱います)。光ったら、テスターのダイヤルを電圧(DCV)に合わせて、電源レールの赤と青に当ててみましょう。3Vや5Vといった電源の電圧が表示されるはずです。「自分で組んだ回路に、ちゃんと電気が来ている」と数字で確かめられると安心です。

7. まとめと次のステップ
今回は、これからずっと使う2つの相棒を紹介しました。ブレッドボードは「縦5穴がつながり、電源レールは横一列、真ん中の溝で分かれる」。テスターは「ダイヤルで測るものを選び、電圧は並列・抵抗は外して・導通はブザー、電流モードは戻し忘れに注意」。この2つに慣れれば、もう実験を始められます。何度でも組み直して、たくさん失敗して大丈夫。それができるのがブレッドボードの良いところです。
次回はいよいよ「LED」です。これまで学んだ抵抗器の電流制限、回路の輪、ブレッドボードとテスターのすべてを使って、最初の一灯をともします。お楽しみに。
発展・応用アイデア
もっと深めたい人へ、3つの寄り道です。ひとつ目は「ブレッドボードの限界」。便利な反面、接触が不安定だったり、大きな電流や高い周波数が苦手だったりします。本格的な作品は、最終的にはんだ付けの基板(ユニバーサル基板やプリント基板)へ移していきます。ふたつ目は「テスターの分解能と精度」。安いテスターと高いテスターでは、測れる細かさや正確さがちがいます。最初は安いもので十分ですが、その数字がどこまで信用できるかを知っておくと、測定結果の読み方が変わります。みっつ目は「ブレッドボード用の電源」。電池のほかに、USBから5Vや3.3Vを取り出せる小さな電源モジュールがあり、ひとつ持っておくと実験がとても楽になります。
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