回路のきほん ── 直列・並列・GND・ショート
前回は電気そのもの、電圧・電流・抵抗を学びました。今回は、その電気を「どうつなぐと流れるのか」を見ていきます。部品をつなぐ道すじのことを回路といいます。回路の組み方には基本のパターンがあり、それさえ押さえれば、回路図を読むのも自分で組むのもずっと楽になります。むずかしくはありません。まずは「電気は輪になって流れる」という、いちばん大事な考え方から始めましょう。

1. 回路は「ひとつの輪」
電気は、電源のプラスから出て、部品を通り、電源のマイナスへ戻ってきます。この行って帰っての道がひとつの輪のようにつながっているとき、はじめて電流が流れます。これを閉回路(へいかいろ)といいます。逆に、どこか一か所でも道が切れていると、電気は流れません。これが開回路です。

スイッチは、この輪をわざと切ったりつないだりする部品です。スイッチを押すと輪がつながって電気が流れ、はなすと輪が切れて止まる。「スイッチを入れる」というのは、切れていた輪をつなぎ直す操作のことです。回路がうまく動かないとき、まず「輪がどこかで切れていないか」を確かめるのが、トラブル解決の第一歩です。
2. 直列つなぎ ── 一本道
部品を一列にならべてつなぐ方法を直列つなぎといいます。電気の通り道が一本しかないので、どの部品にも同じ大きさの電流が流れます。これが直列のいちばんの特徴です。

いっぽうで、電源の電圧は部品どうしで分け合います。たとえば豆電球を2個直列につなぐと、電源の電圧が2個で分けられるので、1個だけのときより暗くなります。抵抗器を直列にしたときの合成抵抗(全体としての抵抗)は、ただの足し算で求められます。
R = R1 + R2 + …
たとえば100Ωと200Ωを直列にすると、全体では100+200=300Ωになります。直列は「抵抗が増えて、電流が流れにくくなる」つなぎ方だと覚えておきましょう。
3. 並列つなぎ ── 枝分かれ
部品を枝のように分けてつなぐ方法を並列つなぎといいます。それぞれの枝に、電源の電圧がそのままかかります。だから豆電球を2個並列にすると、どちらも1個のときと同じ明るさで光ります。電流のほうは、枝の数だけ分かれて流れます。

家庭のコンセントや部屋の照明は、すべて並列につながれています。だから、ひとつの電気を消しても、ほかの電気は消えません(直列だったら、ひとつ切れると全部消えてしまいます)。抵抗器を並列にしたときの合成抵抗は、次の式で求めます。
1 / R = 1 / R1 + 1 / R2
たとえば100Ωを2個並列にすると、1/R = 1/100 + 1/100 = 2/100 なので、R = 50Ω。並列にすると、合成抵抗はいちばん小さい抵抗よりさらに小さくなります。これは「道が増えて、電気が流れやすくなる」からです。
4. GND(グランド)── みんなの基準点
電圧は、いつも「どこかと比べた差」です。山の高さを海面を基準に測るように、電圧も基準を決めて測ります。その基準(0Vとする場所)をGND(グランド)といいます。回路図でよく見る、下向きの横線が重なった記号がGNDです。

電子工作では、すべての部品のマイナス側をこのGNDに集めてつなぎます。とくに、マイコンと別電源のモーターなどを一緒に使うときは、両方のGNDをつなぐ「共通グランド」がとても大切です。これを忘れると、基準がバラバラになって、回路が思ったように動きません。「迷ったら、まずGNDを共通にする」と覚えておきましょう。
5. ここに注意 ── ショート(短絡)
電源のプラスとマイナスを、部品をはさまずに直接つないでしまうこと。これがショート(短絡)です。前回のオームの法則を思い出してください。
I = V / R

ショートでは抵抗 R がほぼゼロになります。式を見ると、R が小さくなるほど電流 I は大きくなりますね。R がゼロに近づくと、電流はとても大きくなり、電池が一気に熱くなったり、配線が焦げたり、部品が壊れたりします。電源を入れる前に「プラスとマイナスが、部品をはさまずに直接つながっていないか」を必ず確認するクセをつけましょう。とくにモバイルバッテリーやリチウム電池のショートは発熱・発火の危険があるので要注意です。
6. 確かめてみよう ── 導通チェック
テスターには「導通(どうつう)チェック」という便利な機能があります。ダイヤルをブザーのマークに合わせて2点にプローブを当てると、つながっていればピッと鳴ります。これを使うと、回路の輪がきちんとつながっているか、どこかで切れていないかを音で確かめられます。配線したのに動かないとき、いちばん頼りになる調べ方です。まずは1本のジャンパーワイヤーの両端を当てて、ピッと鳴ることを確かめてみましょう。

7. まとめと次のステップ
今回は回路の基本を学びました。電気は輪になって流れること(閉回路)、一本道の直列(同じ電流・電圧は分かれる・R=R1+R2)、枝分かれの並列(同じ電圧・電流は分かれる・1/R=1/R1+1/R2)、基準点のGND、そして危険なショート。どれも、これから回路を組むときに何度も出てくる考え方です。完璧に覚えなくても、「直列は一本道、並列は枝分かれ」というイメージだけでも持って帰ってください。
次回は「ブレッドボードとテスター」です。今日学んだ回路を、はんだ付けなしで手軽に組めるブレッドボードの使い方と、電圧・電流・抵抗・導通を測れるテスターの使い方を、実際の手順で見ていきます。いよいよ手を動かす準備が整います。
発展・応用アイデア
もっと深めたい人へ、3つの寄り道です。ひとつ目は「キルヒホッフの法則」。直列・並列をきちんと計算する土台になる法則で、「枝分かれする点では、入る電流と出る電流の合計が等しい」「ひとつの輪をまわると電圧の合計はゼロになる」という2つのルールからできています。ふたつ目は「ショート=悪者ではない」という話。実は、わざと一部をショートさせて回路の働きを変える使い方(ジャンパーやスイッチ)もあります。危険なのは「電源を直接ショートさせること」だけなのです。みっつ目は「グランドの種類」。電子工作のGNDと、家庭のコンセントのアース(地面につなぐ安全用の線)は似て非なるもの。この違いを知っておくと、感電やノイズの話を理解する助けになります。
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