ダイオードは電気の流れを一方向にのみ通す半導体素子です。身の回りの回路に多く使われており、今回は特に論理回路ではどのように使われているかを解説します。
ダイオードは主に以下の目的で使用されます。
- 保護: ダイオードは、過電圧や逆方向の電圧から回路を保護する役割も果たします。これにより、回路が損傷することを防ぎます。
- 整流: ダイオードは交流(AC)を直流(DC)に変換するのにも使用されます。これは、AC信号をDC信号に変換し、論理回路で使用するために必要です。
- 論理ゲートの構成: 特定の論理ゲートはダイオードを用いて構築することができます。例えば、ダイオードを使ってORゲートやANDゲートを作ることが可能です。これらのゲートは、論理演算を行う基本的な構成要素です。
ダイオードの基本構造
ダイオードは半導体デバイスで、主に2種類の半導体素材、n型とp型が接合されて作られています。
- n型半導体: ここには、余分な電子が「ドープ」されています。これらの電子は自由に動き回ることができ、電流を運ぶことができます。
- p型半導体: ここには、電子の不足(「ホール」と呼ばれる)があります。ホールも電子と同様に移動し、電流を運ぶことができます。
このn型とp型半導体が接合されると、接合部分に「p-n接合」と呼ばれる境界ができます。
- 順方向バイアス時: p型側に正の電圧を、n型側に負の電圧をかけると、電子とホールがp-n接合に引き寄せられ、電流が流れます。
- 逆方向バイアス時: p型側に負の電圧を、n型側に正の電圧をかけると、電子とホールはp-n接合から引き離され、電流は流れません。
アノード(Anode)
- アノードは電気デバイスのプラス側(+)の電極です。
- 電子はアノードから離れて流れます。
- ダイオードにおいては、アノードはp型半導体に接続されています。
- 充電可能な電池(例えばリチウムイオン電池)においては、充電時にアノードは電子を受け入れ、放電時に電子を放出します。
カソード(Cathode)
- カソードは電気デバイスのマイナス側(-)の電極です。
- 電子はカソードに向かって流れます。
- ダイオードにおいては、カソードはn型半導体に接続されています。
- 充電可能な電池においては、充電時にカソードは電子を放出し、放電時に電子を受け入れます。
論理回路での役割
ダイオードを用いたAND回路
AND回路は、すべての入力が1の(通常は電圧が高い状態)場合にのみ、出力が1になるように設計されています。
- 動作原理: ダイオードに印加される電圧が2つの入力がどれか1つでも0Vの場合は電位差によりダイオードに電流が流れます。それにより出力は0が保たれます。
一方で両方に1が入力(5Vが印加)された場合はダイオードに電流が流れなくなるため、出力が 1になります。
ダイオードを用いたOR回路
OR回路は、少なくとも一つの入力が高い場合に出力が高くなるように設計されています。
- 動作原理: いずれかの入力が高い場合、そのダイオードが順方向バイアスとなり電流を通し、出力が高くなります。いずれも入力がない場合にのみ出力が0になります。
共通の注意点
- 入力の状態: ダイオードを使用する論理回路では、入力が「高い」(例えば+5V)か「低い」(0V)かという二つの状態を持ちます。
- 電圧降下: ダイオードを通過する際には、小さな電圧降下が発生します。
ダイオードを使用したこれらの論理回路は、簡単な構造な為小型化が可能です。ただし、NOT回路が構成できず、NOT回路にはトランジスタを使った論理回路が一般的に使用されます。このような回路をDTL(Diode Transistor Logic)と呼びます。
近年はあまり使用されません。