デジタル回路 回路 論理素子 高専2年生

【論理素子⓪】デジタルICの概要

今までは論理回路の簡単化や計算、回路の種類について学びました。このカテゴリでは実際に実装する際に必要となる素子について勉強していきます。

「IC」とは「Integrated Circuit」の略で、「集積回路」と訳されます。これは、電子回路のコンポーネント(部品)が一つの小さなチップに集約されているものを指します。デジタルICは、このような集積回路の一種で、デジタル信号を処理するために設計されています。

デジタルICは、コンピュータ、スマートフォン、テレビ、自動車の電子システムなど、現代の電子機器のほとんどに使われています。これらのICは、情報処理、データ転送、制御機能など、多様なタスクを担っています。

デジタルIC(集積回路)の歴史

  1. 1958年 - ICの発明: デジタルICの歴史は、ジャック・キルビーとロバート・ノイスによる集積回路(IC)の発明にさかのぼります。キルビーはテキサス・インスツルメンツで、ノイスはフェアチャイルドセミコンダクターでそれぞれ独立にICを発明しました。これは電子部品を一つの半導体基板上に統合する革新的なアイデアでした。
  2. 1960年代初頭 - 商業化: 最初の商業的なICは、1960年代初頭にリリースされました。これらは主に軍事用とコンピュータ用に使用され、次第により複雑な形態で生産されるようになりました。
  3. 1971年 - マイクロプロセッサの誕生: インテルが1971年に世界初の商業的マイクロプロセッサ「Intel 4004」をリリースしました。これは、完全なプロセッサ機能を一つのICチップに統合したもので、現代のコンピュータ革命の基礎を築きました。
  4. 1970年代 - 1980年代: この時期には、メモリチップ、マイクロプロセッサ、カスタムICなど、さまざまな種類のデジタルICが開発されました。これにより、パーソナルコンピュータ、ビデオゲーム、その他の電子機器が普及しました。
  5. 1990年代 - 2000年代: テクノロジーの進展に伴い、より小型で高性能なICが開発され、携帯電話、ポータブルメディアプレーヤー、高度なコンピュータシステムなどに幅広く利用されるようになりました。
  6. 21世紀: 現代では、デジタルICは、IoT(モノのインターネット)デバイス、スマートフォン、高度なコンピューティングシステム、車載電子機器など、あらゆる種類の先進的なテクノロジーに不可欠な要素となっています。

デジタルICの外形

デジタルICは同じ型番や働きでも用途や大きさによってさまざまな形があります。

形によって略称がありますので以下に示しておきます。

デジタルICの種類

デジタルICの種類には、それぞれ異なる技術と特性を持ついくつかの重要なカテゴリーがあります。RTL(Resistor-Transistor Logic)、DTL(Diode-Transistor Logic)、バイポーラ系、ユニポーラ系がその主要な例です。それぞれの違いについて詳しく説明します。

RTL(Resistor-Transistor Logic)

  • 概要: RTLは、抵抗とバイポーラジャンクショントランジスタ(BJT)を使用した最も初期のデジタルロジックファミリーの一つです。
  • 構造: RTL回路では、トランジスタのベースに入力信号を加え、抵抗を通して電流を供給します。トランジスタはスイッチとして動作し、出力信号を生成します。
  • 特徴: RTLは単純でコストが低いが、速度は比較的遅く、消費電力が高いという欠点があります。

DTL(Diode-Transistor Logic)

  • 概要: DTLはRTLの改良版で、ダイオードとトランジスタを使用します。
  • 構造: 入力部にダイオードを使用し、出力トランジスタを駆動するための論理ゲートを形成します。
  • 特徴: RTLよりも信頼性が高く、より複雑なロジック回路を構築できますが、速度は依然として限られています。

バイポーラ系

  • 概要: バイポーラトランジスタを使用するICファミリー。これにはTTL(Transistor-Transistor Logic)などが含まれます。
  • 構造: バイポーラトランジスタは、PNPまたはNPN型のトランジスタを使用します。これらはキャリアとして電子と正孔の両方を利用します。
  • 特徴: 高速で信頼性がありますが、消費電力が比較的高く、製造コストも高い傾向にあります。

ユニポーラ系

  • 概要: ユニポーラトランジスタ(主にMOSFET)を使用するICファミリー。これにはCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)などが含まれます。
  • 構造: ユニポーラトランジスタは、電子(N型)または正孔(P型)のいずれか一方のキャリアのみを使用します。
  • 特徴: 低消費電力で高密度に集積でき、大規模なICに適しています。バッテリー駆動のデバイスや高性能コンピュータに広く使用されています。

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