LEDとは、Light Emitting Diodeの略称で、日本語では発光ダイオードと呼ばれています。(Emitは放つの意味です)
LEDは、下の図に示すような形状の 2 端子の半導体素子で極性があり、カソード(陰極)よりもアノード(陽極)のリード線が長くなっているのが一般的です。
LEDは発光の色や明るさ、サイズ等の違いにより様々な種類があります。
下の図一番左はフルカラーLEDといい、赤、緑、青のLEDが1つになっており、それぞれの発行強度を調整することにより、様々な色に発行させることが出来ます。
回路図記号としては以下のように表されます。
LEDのデータシート
LEDは、電圧を印加しても低電圧領域では電流はほとんど流れません。
印加電圧が1.8~2.1V付近を超えると急激に電流が流れはじめるという特性があります。
そして、LEDの発光強度は、この電流(これを順方向電流あるいは順電流という)によって決まります。
LEDの種類(発光色や輝度タイプなど)によって差異はありますが、概ね10~20mA程度の順方向電流で使用する製品が多いです。
しかし、流すことのできる電流には限界があり、それを超えると壊れてしまうため、電流を制限するための計算が必要となります。
電子部品にはその仕様を示すデータシートと呼ばれるものがあり、データシートを確認しながら設計する必要があります。
例として秋月電子通商で買うことが出来るLEDを参考に設計していきましょう。
3mm赤色LED 625nm 70度 OSR5JA3Z74A
LEDのデータシートにおいて特に注意してチェックすべき事項としては、次のものです。
(1) 電気的・光学的特性:Electrical Optical Characteristics
① 順方向電流(Forward Current) IF
→ 標準的な点灯を行なうために必要な電流
② 順方向電圧(Forward Voltage) VF
→ 順方向電流IFを流したときにLED両端に加わる電圧
(2) 絶対最大定格:Absolute Maximum Ratings
① 順方向電流(Forward Current)IF
→ 定常的に流すことができる順方向電流の最大値これを超える電流が流れるとLEDが機能・性能の維持が保障されません(壊れます)。
② ピーク順方向電流(Peak Forward Current)IFP
→ PWM制御する場合などで、一瞬であれば流すことができる順方向電流の最大値
③ 逆方向電圧(Reverse Voltage)VR
→ 一瞬であっても逆方向に印加してはならない電圧値
このなかで特に重要なものは、(1)の順方向電流IFと順方向電圧VFです。店頭POPや通販のサイトには、この2つの数値しか記載されていない場合もあります。また、表記も様々で「順方向電圧 VF:2.1V (@20mA)」のような場合もあります。
LED点灯回路の設計
LEDは電球のようにLEDと電源を直接接続することはできません。
なぜなら、3V超の電源をLEDに直接接続すると、順方向電流IFの絶対最大定格を超えるような大電流が流れ、LEDおよび電源が損傷するためです。
そのため、LEDを点灯させる際には、電流を制限するための抵抗や定電流ダイオードを、LEDと直列に挿入する必要があります。
このような目的で使用される抵抗を電流制限抵抗といいます。
LED点灯回路(1個)
下の図に示すような回路を構成することで1個のLEDを点灯させることができます。ここで、Rは電流制限抵抗で、RとLEDの位置を入れ替えても問題はありません。
電流制限抵抗Rの値は次式により設定します。
R=(Vcc-VF)/IF Ω
ここで、VCCは(電源電圧)、VFはLEDの(順方向電圧)、IFは順方向電流です。
VFとIFはLEDのデータシートから調べることができます。
例えば、あるLEDのVFが2.0V、IFが10mAであった場合、電源電圧を5Vとすれば必要な電流制限抵抗は300Ωとなります。
実際には、同じ型番のLEDであっても個体差によりIFはばらつくので、余裕をみて+50Ω以上の抵抗を使用します。
一般的には、精度は高くないが安価で入手しやすい炭素皮膜抵抗が使われます。
また、抵抗は同じ抵抗値でも、次式で計算できる消費電力Pの2倍以上の定格電力(許容電力とも呼ばれる)を備えた製品を使用する必要があります。
P=(Vcc-VF)×IF W
例題:
VCC=5V、VF=2V、IF=20mAのとき、適切な抵抗(抵抗値、種類、定格電力)を選定せよ。
解答はこちらをクリック
R=(VCC-VF)/IF=(5-2)/0.02=150 → 220Ω
P=2(VCC-VF )∙IF=2(5-2)∙0.02=0.12W → 1/8W
LED点灯回路(複数・並列)
複数のLEDを点灯させるためには、1個点灯の回路を並列化し、下の図に示すような回路を構成すればよさそうです。
しかし、この方法では、N個のLEDを点灯させるために必要な電流はN倍となり、電源の電流容量の面からみて効率がわるいです。
最大出力電流が1Aの電源を使ったとすると、LEDのIF が20mAだとすれば、並列化した回路では50個を越えるLEDを点灯させることはできません。
この回路ではLED点灯回路の1個の場合と同じ式で必要な抵抗値を計算することが出来ます。
LED点灯回路(複数・直列)
電源電圧に余裕があり、なおかつIFが同一のLEDを点灯させる場合は、下の図に示すようにLEDを直列接続した回路を構成するほうがよいです。
この回路に必要な電流制限抵抗Rの値は次式により求められます。
R=(Vcc-NVF)/IF Ω
ここで、Nは直列接続するLEDの個数です。
この回路に流れる電流は、1個のLEDを点灯させる場合と同じIFです。
よって、電源電圧が大きな場合は、並列に回路を構成するよりも、直列に回路を構成したほうがよいという事になります。
なお、Vccが6V、VFが2Vであったとしても、次のように電流制限抵抗を抜いて電源とLEDだけで回路を構成してはいけません。
(IFやVFの個体差、環境温度の変化により想定以上のIFが流れる可能性があり、抵抗がないとそれを抑制できないため)。